目の前にある液晶テレビが、今まさにコロンボ空港に着陸せんとしている当機の航路を映し出している。つぶれた卵形のスリランカをちょうどよこから串刺しにするような感じだ。チャンネルはたくさんあるのだが、英語やアラビア語の番組ばかりで結局これを選んでいる。
このフラグキャリアの場合、どんなに安いチケットの客にもテレビが1台あてがわれる。おまけにこのボーイング777は全席電話付きだ。
テレビの下に備え付けてあるリモコン兼用の受話器をとりはずし、そのわきにあるスリットにクレジットカードを通して使う。挨拶程度の会話に日本のタクシー初乗り代の倍程度の料金を払う覚悟があるのなら、今すぐにでも日本の家族・友達・
会社のオフィスと会話ができるのだ。
From:......
To:xxxxx@xxxx.com
Subject:東地中海旅行について.
こんな気のきいた題名のE-mailが届いたのは1ヶ月前。 最初は「なんだ?」と思ったが・・・そうか・・あそこは東地中海? いままで足跡を残した地中海の国々と繋がった気がして妙に納得してしまった。
AトラベルのTさんがアレンジしてくれたのは、シンガポール&ドバイ経由、アンマンIN、ダマスカスOUTというとても旅情あふれるコース。おまけに、コロンボにも立ち寄るという、空の各駅停車だ。 StatusはすべてOK。僕のわがままな要求”エミレーツ航空” もかなえてもらっていた。
コロンボと聞いて期待したのはそこで積み込まれる機内食。 昔読んだある本で,ここで積み込まれた機内食がとても素朴で地味でっはあったが放し飼いにされていた地鶏の味がするチキンなどがでてきてとても おいしかった、と書かれていたからだ。
夜中2時、コロンボに到着すると隣客が入れ替わった。山高帽をかぶり鼻の下にひげをたくわえ、丸い黒縁めがねをかけたちょっと愛嬌のあるおじさん。 会釈するととても人なつこそうだった。
コロンボからドバイに行く客。いったいどんな地位でどんな職業の人なのだろう?、何の目的でスリランカからUAEに行くのだろう?どちらの国もあまりなじみがなく詳しいことは知らない。そんな知らない国同士の関係なんて、ますますわからない。
シートベルトをしめるとやおらアラビア語の新聞を取り出し大きく広げ読み始めた。隣席の私としてはちょっとうっとしい。それよりなにより、この人の右ひじの体毛はなんだか一本一本が生きているみたいで、 それがわたしの左腕にふれてとてもくすぐったい。 サービスに定評があって、スチュワーデスはみんな美人で (後にわかった事だがアラブには美人が多い。特にシリアは・・・) 気の利いた衣装でお出迎えしてくれるエミレーツ航空であっても、エコノミー席はB777ボディに3-4-3配列。ひじかけを隣人とシェアする事は避けられないのだ。
約1時間のトランジットを終え離陸すると、蒸し暑かった機内もだんだん涼しくなってきた。左腕が少々くすぐったくはあったが、そのうち気分も良くなりぐっすり眠ってしまった。
目が覚めたのは夕食が片づけられた後だった・・・。